『マーケティング×販促広報による経営戦略 ~ 広報の費用対効果とは!? ~』
費用対効果が高いのは、広告?広報?
『広告』と『広報』の違いは何でしょうか。
一般的な違いは、ご想像の通りです。
(本コラムでは割愛いたします。)
では、
『広告』と『広報』で、どちらの費用対効果が高いでしょうか?
※本コラムでは、費用対効果の『費用』の範囲として、人件費や活動費も含めるものとします。
広報の成果を『広告費換算』する、という考え方もありますが、
結論としては、
『広告』『広報』に優劣をつけるのは難しいでしょう。
そして、
難しいと思われてしまうからこそ、特に『広報の成果』に対する評価基準がない中小企業では、『広報』は、別の担当部署にて兼務というポジションとして扱われてしまうのではないでしょうか。
逆に言えば、
『広報』の費用対効果の基準が明確となっていて、かつ『広告』の費用対効果を上回っていれば、
極論、
『広告』という戦術は不要、という判断もできるわけです。
『広報』ありき、『マーケティング』兼務、という発想ですね。
広告主体から、広報を主力に
以下、大手上場メーカーM社(当時、従業員4万人、年商3兆円)の自転車部門の販売担当者が、肥後(ピーアールセンター代表)の販促広報講座を受講した時の話しです。
新商品の販売プロモーションを、
広告主体の現状から広報が主力となる状況に、販売戦略全体を再構築できないか、という課題を抱えていました。
肥後がしたアドバイスの概要は、以下の通りです。
- ターゲットユーザーを明確にし、セールスポイントを強調
- ターゲット媒体を選定し、アプローチのスケジューリングを徹底
- 試乗会や交通安全指導などのイベントPRの実施
- 地方支店や代理店を巻き込み、大々的にプロモーションを展開
そして、
- 記者発表を兼ねた取材獲得策の入念な準備
広報の費用対効果とは!?
上述、肥後のアドバイスですが、
おわかりの通り、新商品の発表および販売促進という目的に対するアクションプランとしては、ごくごく一般的な内容となっています。
大企業であろうと、中小企業であろうと、やるべきことは同じなのです。
ただし、
あらゆる面で、そのボリュームと内容は、大きく異なります。
<ターゲットユーザー>
中小企業であれば、よりニッチでコアなユーザーにセグメントすべきでしょう。
<ターゲット媒体>
メディア露出の実績次第では、全国紙大衆誌ではなく、地方紙等地域密着型の媒体を狙う方がベターかもしれません。
<イベントPR>
予算によっては、小規模イベントの開催でも、いたしかたないでしょう。
無論、
企業規模によっては、記者発表を行う予算はないかもしれません。
ちなみに、当時のM社は、
まさにドンブリ勘定という背景もあり、『これをすべき』というものが、上述の通り列挙されたわけですが、
やはり、
業務を遂行する上で、リソース分配(広告費等の実費や人件費)の問題が伴う以上、費用対効果という判断基準が必要となります。組織が大きければ大きいほど、改革には相応の証左が必要となります。
企業規模の大小に関わらず、
企画を推進する上では、期待される費用対効果の試算は不可欠なわけです。
この点、M社の販売担当者には、
- 新聞等記事掲載に対する広告費換算
- 記事掲載を見た方からのお問い合わせ数
- その後の契約数
等を費用対効果の判断基準として、目標値設定と売上期待値の試算をするようアドバイスしました。
特に、本ケースの場合、
何しろ担当者の気概が『広告主体から、広報主力に』でしたので、従来のリソース配分(資金的にも、人的にも)を改めるためには、広告戦略の見直しに対する相応の根拠、試算、実現可能性が必要だったのです。
広報の費用対効果は測りづらいと良くいわれますが、実は、本ケースのようにKPIを設定することで、広報の成果を見える化することができます。
そうすることで、
『広告(マーケティング)』同様、経営戦略のひとつとして、『広報』を活用しやすくなります。
まさに、
【新・販促広報】(=マーケティング×販促広報)に基づく経営が可能となるわけです。
かくして、
販売担当者はみごとに社内稟議を通し、販売促進のいち戦術として、販促広報の導入を実現しました。
そこで、
肥後からのアドバイスとして、
継続的に、販促広報を推進するため、
- 報道結果および契約数を確認し、費用対効果を算出
- 『BIGな商談案件の可能性』『交渉中の商談数』等を営業担当からヒヤリング
等を、毎月必ず実施し、上司に報告するよう提言しました。
ビジネスですので、結果が全てです。
その点では、
販促広報の等身大の実績を関係者(特に上司)に認識してもらうと共に、販促広報の可能性を感じてもらうことが大切なのです。
何しろ、上司の評価は最も重要ですから。
その後、
販促広報が功を奏し、新商品のプロモーションは大成功に終わりました。
1年後、
販促広報講座を受講した広報部長から、あらたに、プレスリリースの相談を受けました。
社長が趣味とするオモチャを、新商品として開発したためメディアに露出させたい、という内容でした。
このオモチャは、
今では誰もが知っている商品名です(定価は約2万円)。
まずはプレスリリースの支援だけで良いという内容であったため、さっそくM社の地元名古屋の読売新聞社に投げ込みました。
その記事は、なんと全国版で紹介され、
2,000件もの問い合わせが殺到、1週間で完売となりました。
広報部長は、
『信じられない!』『スゴイ!』
と、驚きの言葉を繰り返したといいます。
マーケティング×販促広報【新・販促広報】を提唱
株式会社ピーアールセンター CMO 内田悟志